参拝旅行の味わい

先月、南アラミダ群仏教会の宮地崇先生とサンマテオ仏教会のメンバーを含めた桑湾教区(サンフランシコ周辺)の団体と一緒に、日本の京都、浄土真宗の本山西本願寺で行われた親鸞聖人御誕生850年及び立教開宗800年の慶讃法要、ならびに第17回世界仏教婦人会大会、そして鹿児島隠れ念仏参拝の2週間のツアーに参加してきました。

羽田空港に到着して日本に入国後は、東京築地本願寺の近くのホテルに2泊宿泊しました。滞在中は、築地本願寺の晨朝勤行(じんじょうごんぎょう)(お朝勤(あさじ))にも参加しました。築地本願寺は東京の中心にあって、その周りには高いオフィスビルがたくさん並んでいます。築地本願寺のお朝勤は午前7時から始まるので近辺のオフィスで働いている方々の中にはこのお朝勤にお参りしてから、職場に向かう方の姿もありました。

築地本願寺のスタッフに境内のご案内をしてもらい、インドの伝統寺院の形式と西洋建築の双方の影響がうかがえる本堂はとても新鮮でした。ツアー参加者の中には、本堂に立派なパイプオルガンが置かれていることに興味深く感じた方もいました。都会に移住する多くの現代人のニーズを考慮し、新たに納骨の形式を提供した合同墓も築地本願寺にはあり、親鸞聖人が800年前に立教開宗した教えが私の時代にも継承され、今も人々の救いになっていることが味わえました。

築地の後は、親鸞聖人が長年住んでいた京都に移動し、850年前にお生まれになった親鸞聖人に関わる場所を巡りました。浄土真宗本願寺派本山である西本願寺には毎朝6時のお朝勤と5月10日の慶讃法要を参拝し、世界仏教婦人会大会に参加しました。仏婦大会では世界各地の念仏者とともに親鸞聖人のご遺徳を偲び、そのご苦労を通じて、阿弥陀如来のご本願による救いをあらためて心に深く味わうができ、今回のご縁をとてもありがたく思いました。

その他には、親鸞聖人が九歳の時に得度をして僧侶となった青蓮院、二十年間修行に励んだ比叡山延暦寺、そして親鸞聖人が往生した後に聖人の末娘覚信尼公が建立した大谷本廟を参拝し、京都国立博物館では滞在中特別展示されていた親鸞聖人の直筆の聖教を拝見することができ、いっそう親鸞聖人のご生涯とお念仏とのご縁のありがたさを改めて実感できた京都訪問でした。

 京都の後は、九州に移動し、鹿児島のかくれ念仏の遺跡を訪問しました。かくれ念仏というのは、江戸時代、島津藩が浄土真宗を禁止し、念仏者を激しく弾圧していた期間に、浄土真宗の御門徒達が信仰を失わないよう洞窟などに隠れて阿弥陀如来を唱え続けたことを示します。今回、実際にかくれ念仏が行われていた場所である立山のかくれがま(「がま」は鹿児島の方言で、山の斜面などに掘った横穴のこと)を訪ね、西本願寺鹿児島別院にてこのかくれ念仏の歴史を学ぶことも出来ました。また鹿児島別院では、境内に納めてある「涙石」という弾圧の歴史を象徴する石を拝見することも出来ました。

このかくれ念仏の歴史を聞けたことで、私達にお念仏の教えを伝えるためにたくさんの方々が大変苦労してこられたことを知り、今回改めて、私達もこれから親鸞聖人が説かれた浄土真宗の教えが次の世代に伝わるよう励むべきだと実感させられた大変ありがたい2週間でした。

南無阿弥陀仏