私が浄土真宗に出会った頃、あるご法話の中で「善人ばかりの家には争いが絶えない」という不思議な言葉を聞きました。その時の私にとっての「善人」とは自分で正しいことをちゃんと分かって、いつも正しい行いをする人だと思っていました。私はもともとそういう善人になりたくて、仏教を学ぼうと思ったので、この言葉を聞いた時はびっくりしました。
そのまま聞けば善人ばかりの家では、皆が正しい考え方を持って、正しい行いをして、仲良く暮らしているに違いないと思うのが普通と思いますが、自分の家庭生活を振り返ってみますと、確かにこの「正しい」ということばが原因で争いになったことは少なくありません。親子や配偶者との間で、子育て、政治、運転、料理、服装、髪型などについてさまざまな意見が出てきて、自分だけが正しい考えと行いをしている「善人」だと思ってしまうと、すぐに対立になってしまい争いが絶えることはありません。
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