帰省

日本では、通常、お盆の時期は多くの人たちが実家に帰省するため一年の中で交通量が最も忙しくなる時期の一つです。毎年この時期は、サンマテオ仏教会でも多くの方が盆踊りの練習や盆踊りのために一年ぶりに仏教会に来てサンガとの絆を大切にします。毎年の初盆法要では、前年のお盆以降に往生された方々を偲ぶため、遠方からお参りに来られるご家族らもおられ、多くの方がご参拝に来られます。残念ながら今年の初盆は、新型コロナウイルスの感染を防ぐために仏教会に集まることが出来ませんが、その代わりに8月9日(日曜日)にオンラインと電話で盂蘭盆及び初盆法要を行います。この異例の今年のお盆の迎え方は、この時期の帰省の意義を考えさせてくれます。

盂蘭盆会(お盆)という仏教の行事は釈迦様とその弟子の目犍連尊者の話に基づいていると言われています。目犍連尊者は母親へのご恩の気持ちが深く、

母親が亡くなった後、目犍連尊者は心を一点に集中した三昧(心が統一され安定した状態)に入り、生死の六道*の世界の中で母親を探しました。すると、母親が餓鬼道という欲が多く、満足する事のない苦しい世界に落ちているのが見えました。

            目犍連尊者はすぐに釈迦様のところに行き、どうすれば母親を救うことが出来るか尋ねました。釈迦様は、周りに暮らしている人たちと助け合うようなことをすれば、それこそが母親への感謝を表すことになるとおっしゃいました。そして、目犍連尊者は釈迦様に言われたとおり、七月十五日に僧侶の仲間に食べ物、衣等のお布施をしました。お布施をした後、再び三昧に入り、六道の世界の中に母親を探すと、母親が餓鬼道から開放された様子が見えました。これに目犍連尊者は大変喜び、嬉しさのあまり踊り出したことが盆踊りの由来と言われています。

日本の仏教では、地方によって異なりますが、7月または8月の13日から15日までの三日間がお盆です。一年のうちこの三日間はご先祖が他界の六道から家に戻って来てられると言われており、お多くの方が実家に帰省し、お盆にご先祖を迎えて家族で仏事を営むことは日本の大切にされてきた伝統の一つです。

そして、私たちの浄土真宗におけるお盆の捉え方は、釈迦さまが『仏説無量寿経』に説かれた阿弥陀如来の本願の教えに基づいています。この本願とは、阿弥陀如来の救いを信じ、喜びと感謝のお念仏を申す者はこの世の命を終えた時に必ず極楽浄土に往生して、生死の苦しみから開放されるという仏様のはたらきのことです。

お盆に南無阿弥陀仏をおとなえする私たちは、先亡者を偲ぶことによって、本願のその不可思議なはたらきにより、安心して先亡者がお浄土に往生し六道の苦しみから解放されたことを確認することが出来ます。『仏説無量寿経』に「ガンジス河の砂の数ほどの限りない人々を導いて、 この上ないさとりを得させようとする」とあるよう、阿弥陀如来のお浄土に往生した者は生死に苦しむ私たちに自由自在にはたらきかけてくださっているのです。 (第22願)

今年は例年と異なるお盆を迎えますが、私たちの人生の旅がどこへ向かっても、お浄土に往生された先亡者の方々が一年中絶えず私たちを悟りの世界に導いて下さっているという仏様の教えを思い出し、大いなる安心をいただきながら過ごしましょう。

南無阿弥陀仏

*地獄、餓鬼、畜生、人間、阿修羅、天