再会

東アジアの仏教において、お盆はこの世を去った身内の方々が年に一度、生死の輪廻転生から家族のところへ帰り、共に時間を過ごす期間を意味します。人が亡くなると、四十九日間の「中陰」という期間にいる間に、次の生まれを受けると伝えられています。もし亡くなられた方がこの中陰の期間にお盆を迎える場合は、まだ次の生まれを受けていない可能性があるので、そのご家族は初盆を翌年に行う事が通常です。

但し浄土真宗の教えにおいては、阿弥陀如来の本願を信じる人は皆この世の命を終えるときに速やかにお浄土に往生し、生死の輪廻転生から開放されると説かれています。そしてその後は、お浄土から還相の菩薩として自由自在に全ての人を悟りの世界に導くために働きかけるとされています。そのお浄土からのお導きはお盆の期間だけではなく、一年を通して毎日働きかけて下さるものです。浄土真宗において、お盆は阿弥陀さまの本願の働きによって全ての人々が救われることを喜ぶご縁とされているので、これを「歓喜会」とも呼びます。先にお浄土に往生された方々は一年中私たちを導いて下さっていますが、一年の中でお盆はその方々とのご縁を大切にする法要になります。

お盆の期間に往生された身内の方々が帰ってきた感じがしてありがたく思うとおっしゃるご門徒さんがおられます。先に往かれた方々は日々私たちを導いて下さっていますが、このお盆の時期に、私たちは皆さんとお墓をお参りしたり、お盆踊りに参加したり、初盆の法要に参拝したりすることによって、お浄土から働きかけて下さっているその存在をより近くに感じ、より深い感謝の気持ちを持つでしょう。そのありがたい存在に気づくことによって、先亡者の方々がお盆の時に帰ってきたという思いが浮んでくるのだと思います。お盆の時に久しぶりに再会している感じがするのはきっとそのためでしょう。

少しずつコロナ禍前の生活に戻ってくると、しばらく会っていなかった家族や友人らと再会するのは誠にありがたいことです。一年半ぶりに会うと、以前はまだハイハイしていた子供が今ではもう走ったり、話したりしています。見間違えるほど背が伸びた子供もいます。大人の中には髪が相当伸びた方もいたり、または白髪や笑う時に見える皺が若干増えた方も見受けられます。私自身の人生においても無常の風はずっと吹き続けています。昨日、一人の法友は私に「あなたもちょっぴり老けたね」と親切に言ってくれました。

今回のコロナ禍を乗り越えて、私は人生の中で出会う共に念仏の道を歩む仲間の存在により深く感謝するようになった気がします。久しぶりの再会を通してその仲間が与えてくれる導きに気づいたり、同じお浄土へ向かう道を歩んでいる仲間なので、しばらく会うことが出来なかったけれども、そのお陰でそのご縁がさらに深まったようにも思えます。

このお盆の時期にお往生された方々を偲びながら、私たちにとってもお浄土での再会が少しずつ近づいていることを感じつつ、改めて先亡者の方々とのご縁を深く喜び、日々与えて下さっているお導きに感謝いたしましょう。日頃私たちがお称えする『南無阿弥陀仏』のお念仏はその感謝の心を表しています。

南無阿弥陀仏