私たちの念仏道場

サンマテオ仏教会では10月に親鸞聖人の妻恵信尼さまと末娘覚信尼さまを始め、代々お念仏の喜びを継承してきて下さった仏教婦人の方々をお偲びする追悼法要をお勤めします。親鸞聖人の往生後、覚信尼さまが敷地を寄進し、関東の門弟の協力をえて六角の廟堂が建てられました。

覚信尼さまは廟堂の守護をする留守職(るすしき)に就き、以後覚信尼さまの子孫が門弟の了承を得てその職に就任することになりました。その廟堂は大谷本廟といい、今の本願寺はその廟堂から始まったと言えます。それ以来、親鸞聖人の子孫が代々守ってきた本願寺は誰でもお念仏の喜びに出会える場所として、今も私たちの仏教会の活動のお手本とされています。

私はこの夏、家族と京都を訪れ、その際本願寺をお参りしました。多少雨の降る平日だったせいか、参拝者は少なかったです。そこで、子供達と本願寺の立派な建築と荘厳を観察しながら、作業衣姿で箒で床を掃除している60歳くらいの男性に気がつきました。その方は、子供達が私に尋ねてくる色々な質問を耳にすると、親切に本願寺の歴史と御堂の造りの特徴を説明してくれました。その方と話すうちにその方も僧侶で本願寺のスタッフだったことが分かりました。僧侶でもあるその方が本願寺の境内を実際に掃除している姿を見ながら、その方が代々親鸞聖人の教えを大切にされてこられた方々に感謝している様子が見受けられました。

覚信尼さまが大谷本廟を守ってこられたのと同じように、今も世界各地に親鸞聖人を偲び、浄土真宗の寺院を大切にして下さっている方々がたくさんいます。サンマテオ仏教会もその寺院の一つであり、先月はご門徒の皆さんで秋の大掃除を行いました。ご門徒さんたちが力を合わせ、本堂を始め、キッチン、ダーマルーム、前庭など様々なところを掃除して下さったお陰で、仏教会が綺麗になって気分もとてもスッキリしました。

仏教会の施設を掃除することによって、私たちの念仏道場のありがたさを再発見されたご門徒さんもおられました。中でも大掃除の前の週にお香を床にひっくり返した我が家の四歳児は一番丁寧に本堂の壁を拭いていました。普段お参りの最中はウロチョロしてちょっと退屈そうな子供でも、本堂の掃除の作業は楽しそうで、どうやら本堂が面白いところになったようでした。

久しぶりお参りに来ていた高校生の一人は、ソシャールホールの二階の図書室にあったドネーションされた本類の整理を手伝ってくれました。すると、一つの小さいダンボール箱から昔の写真がたくさん出てきました。その高校生は何十年も前に撮られた写真を見ながら、仏教会の歴史を改めて実感し、仏教会の存在をよりありがたく思ったような様子でした。そして、そのありがたい気持ちを他のご門徒さんにも分かち合いたいと、作業の後にスキャンしてシェアしたいと言っていました。

親鸞聖人の徳を偲ぶ大谷本廟を守って下さった覚信尼さまのお陰で、これまで代々浄土真宗のお寺にお参りして下さった方々に念仏の喜びを伝えることが出来ました。私たちもサンマテオ仏教会を大事に守ることによって、お念仏のありがたさを自身で深く味わうことができ、他の方たちもそのありがたいお念仏に出会うことができます。このように今後もまた仏教会で皆さまと共にお念仏を味わえることを楽しみにしています。

南無阿弥陀仏